第100回全国高校野球選手権記念西兵庫大会は23日、2球場で準々決勝4試合があり、4強が決まった。小野が社を破り、初の準決勝進出を果たした。同日、準決勝以降の組み合わせ抽選もあった。24日は2球場で東兵庫大会の準々決勝4試合がある。
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(明石商5―2洲本)
洲本・萩原辰徳選手
九回表、3点を追う洲本の攻撃。あと2死でゲームセットという場面で捕手の萩原辰徳が打席に立った。明石商・加田悠真は初球のチェンジアップを外した。「勝ち気な悠真なら、次は直球勝負」。読みが当たった。打球はセンター方向へ伸びていく――。
二人の野球環境は似ていた。中学の同級生。ともに中学生野球チーム「ヤング淡路」でプレーした。二人とも双子の兄弟がおり、兄弟でバッテリーを組んでいたところまで一緒だった。
萩原兄弟は、それ以前の少年野球時代から、プレーの面では加田兄弟に押されることが多かった。ヤング淡路でも、正バッテリーの座は加田兄弟が獲得した。
加田兄弟に負けたくない気持ちと、チームの頼もしい仲間としての信頼感。二つの感情に萩原は揺れた。
そんな萩原が「一緒に甲子園をめざす」仲間と見込んでいた加田はその後、明石商に進み、海を挟んだライバルとなった。今大会、二人は久々に直接対決する時を迎えた。
洲本は今大会、9年ぶりの8強進出を果たした。打撃面でもチームの勝利に貢献してきた萩原には、加田を打ち崩す自信があった。
そして、冒頭の場面。萩原の打球は途中で失速した。球は中堅手のグラブへ。萩原はあきらめきれないように二塁近くまで走り続け、そして天を仰いだ。
「悠真たちには最後まで勝てなかった」。萩原はさっぱりした口調で語り、こうも付け加えた。「でも、彼らが壁になったことで、僕らも成長できた」(山崎毅朗)