(10日、高校野球兵庫大会 神戸学院大付8-2神戸商)
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二回表、2死二、三塁の好機に、神戸商で先発した外山(とやま)健太(3年)が打席に立った。初回に自分の四死球から走者を出して打たれ、先取点を取られていた。「なんとか取り返そうと思った」。5球目に食らいつくと、捕球した神戸学院大付の二塁手が一塁へ悪送球。2人が生還し、逆転した。五回と七回には安打を放ち、この日3打数2安打とチームで唯一、複数安打を記録した。
チームはこの春の地区大会の初戦でも神戸学院大付と対戦。3―10と7回コールド負けを喫していた。「春は自分が弱気になって、外角へ投げてかわそうとしてしまった」。その後、ブルペンで打者のひざ元付近にひもを張り、内角低めに投げる練習をした。
「春のリベンジを」と臨んだ夏の初戦。打撃で気を吐いたが、投球では思うようにはいかなかった。
三回に連打を浴びるなどして3点を奪われ、逆転を許した。七回には1死一、二塁のピンチに。主将の藤崎隆太(3年)がマウンドへ駆け寄った。「しっかりいつも通り投げたら抑えられるから」。中学から一緒に野球をしてきた仲間で、苦しい場面でいつも最初に声をかけてくれるのは藤崎だった。しかし、内角を狙った球が真ん中よりに入って二塁打を打たれて4点差に広げられ、この回でマウンドを降りた。
試合終了後、最後まで投げられなかった悔しさがこみ上げ、これまでの3年間も思い出して涙がこぼれた。高校に入ってからプレーが思い通りにいかず、苦しいことの方が多かった。ただ、「練習してきた内角を強気に攻めることはできた。緊張はしたけど、今までの野球人生の中で一番楽しい試合だった」。(武田遼、岩田恵美)