(8日、高校野球 金足農5―1鹿児島実)
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11年ぶりに出場の金足農(秋田)は8日、鹿児島実を破り、1995年以来の勝利を挙げた。レギュラーの3年生9人は入学前から互いを知る地元出身の選手たち。秋田大会は一度も途中交代せず9人で勝ち上がり、甲子園でも交代はなし。そして躍動した。
三回裏、金足農は二塁手の1番菅原天空(たく)君(3年)の適時三塁打で先制した。
「『金農(かなのう)一本』と言い続けてきました」と菅原君。野球部OBで現在はコーチを務める父天城(たかき)さん(42)に連れられ、幼い頃から金足農の試合を見てきた。伝統ある紫のユニホームに、走攻守のバランスがとれたチームカラー。小学4年生で野球を始めた時には進学を決めていた。
ベンチ入り18人中、3年生は9人。全員が秋田市やその周辺で育ち、中学では軟式野球部に所属。「みんなで金農行かない?」。菅原君を始め、家族や親戚に金足農卒業生がいるメンバーも多く、気心知れた仲間が集まった。加えて9人はレギュラー争いでも他を寄せつけず、秋田大会5試合を同じメンバーで戦い抜いた。
金足農は初出場した84年の第66回大会で4強入り。準決勝は桑田真澄や清原和博を擁するPL学園(大阪)に1点差で敗れたが、「雑草軍団」の名が全国に知れ渡った。
その名にたがわず、昔も今も練習は厳しく、冬の合宿ではボールを使わないで体を鍛え抜いた。「自分たちに実力はない。でも根性はあります」と一塁手の高橋佑輔君(3年)。猛練習で培ったタフさは甲子園でも発揮された。八回、鹿児島実に1点を返されたが、直後に菅原君の適時打などで2点を奪って突き放した。エースの吉田輝星君(3年)は毎回走者を出しながらも14奪三振と相手打線をねじ伏せた。三塁コーチの船木弦君(2年)は「先輩たちのまとまりを見習いたい」と話す。
23年ぶりとなる勝利の校歌は、体を反らして全力で歌う金足農のスタイルで。主将の佐々木大夢君(3年)は「みんなで優勝するのが目標」と言い切った。(神野勇人)