甲子園観戦記 鈴木福さん(俳優)
18日締め切り! 夏の甲子園、歴代最高の試合は? 投票ベストゲーム
甲子園の全試合をライブ中継 バーチャル高校野球
色紙の言葉ですか。う~ん、「二刀流」はどうでしょう。もちろん、俳優と野球の二刀流のことですよ。あ、バックスクリーンへ。金足農のエース吉田選手が2ラン。すごい。大リーグ・エンゼルスの大谷翔平選手だけじゃない。吉田選手も二刀流だ。
いま中学2年生です。僕が通う都内の公立中学には野球部がなかった。小学校時代のチームメートや中学で知り合った仲間とどうしても一緒にやりたくて、みんなでお願いして、保護者や地域の方にも協力していただき学校に部をつくってもらいました。ポジションは主に投手。仕事で練習に行けない日も多いけど、仲間との野球は楽しいです。
第1試合に先発した近江の林選手は、同じ左投げなので、すごく勉強になる。いいチェンジアップだなあ。変化球をうまく使って真っすぐを生かしている。僕も変化球を練習中だけど、まずは直球をしっかり投げられるようにしないと。なんといっても、直球が投手の基本ですから。
野球を始めたのは小5の時。野球が題材のドラマへの出演がきっかけでした。マツダスタジアムで始球式をして広島カープの大ファンになり、ますます夢中になった。夏の甲子園には去年も来たんです。ドラマの撮影で大阪にいて、「行けたらいいなあ」と思っていたら、撮影の終了翌日が決勝戦。軽く140キロ台を投げる投手にも、応援の熱気にもびっくりでした。
演じる時は、笑顔だけでも何種類もある。家でお芝居の練習をすることもよくあります。菅田将暉さんが鬼で、僕が息子を演じたauのCM「三太郎」シリーズでは、勉強の出来る優秀な子を、ユニークさを残しながら演じて欲しいと言われました。出演時間が短いCMには独特の難しさがあるんです。監督さんとセリフを練習しイメージを膨らませて撮影に臨みました。
お芝居も野球も、練習や準備が大切という点は似ていると思います。選手たちは一生懸命、たくさんの準備をしてきたから、いまここでプレーが出来ているんですよね。
いま自分の中で「やりたいこと」「やらなきゃいけないこと」の優先順位は学校生活、仕事、野球です。だから、高校で甲子園を目指すことはないと思います。でも、野球が本当に好き。役者として甲子園みたいな大舞台を目指しながら、野球も続けたい。始球式でこのマウンドに立ったり、選手の役を演じられたりしたら、うれしいな。
甲子園カレーはおいしかったし、甲子園歴史館も面白かった。夏休みの宿題をしなくちゃいけないんです。もっといたいけど、帰ります。(構成・竹田竜世)
◇
すずき・ふく 2004年、東京都出身。14歳。子役として活躍し、テレビドラマ「マルモのおきて」、NHKの連続テレビ小説「わろてんか」などに出演。小5で野球を始める。左投げ左打ち。広島カープのファン。