(18日、高校野球 日大三3―2下関国際)
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日大三・高木翔己
七回裏、三塁コーチボックスからベンチに戻ると小倉監督に呼び止められた。「八回の英雄(佐藤)のところでいくぞ」
すぐにベンチ裏で素振りを始めた。チームは七回まで1安打。小さく変化するツーシームとスライダーを駆使する下関国際の鶴田の配球を、三塁コーチでじっと見ていた。「左打者の初球は外角が多い」
昨秋、投手から野手に転向した。足はチームで一番速い。代打、代走、守備固めと何でもこなすスーパーサブ。2回戦は途中出場で本塁打を放った。
打席に向かったのは2点を追う八回無死二、三塁。初球。観察通りにきた外角の直球を振り抜いた。打球はライナーで中前へ。同点打となった。そして、しみじみ思った。「野手になって良かった」と。
Mr.Childrenの曲「終わりなき旅」が大好きだ。お気に入りのフレーズは「高ければ高い壁の方が登った時気持ちいいもんな」。次は準決勝。(坂名信行)
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それまでの3打席は無安打。八回2死三塁で打席に入った日大三の日置は「どんな形でもいいから点を取る」。3球目を無我夢中で振り抜くと、鋭いライナーが一塁手のグラブをはじく決勝の適時打となった。「弱い」と言われてスタートしたチームを引っ張ってきた主将。「今まで以上に集中した。最後は執念でした」と興奮気味に話した。
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日大三の初安打は七回2死にやっと生まれた。5番中村が低めのスライダーをとらえ、左前へ落とした。「走りながら、『落ちてくれ』とほんとに叫びました」。後続は断たれたが、この一打で打線は勢いづき、八回に2点差を逆転。中村は「自分たちらしい粘りの野球ができた」と誇った。
○小倉監督(日)「途中でノーヒットノーランかなと思って心配した。八回先頭からの3連打は全部初球。あれくらいの思い切りが必要なんですよね」
○河村(日) 三回から登板し、7回を1失点。最後は跳びはねてガッツポーズ。「いつか点を取ってくれると信じて投げた。変化球を振ってくれた」