(11日、高校野球東東京大会 修徳6―0淵江)
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試合に敗れ、ロッカールームに戻ると、淵江の窪田俊亮(3年)はぼろりぼろりと涙をこぼした。
右ひじが痛み、医師から投球を禁じられたのは、小学6年の時だった。母千代子さん(49)は「泣きじゃくっていました。かわいそうで……」と振り返る。「休めば治るから。牛乳を飲めば、治るから」となだめたが、「治りませんでした」と窪田。でも、野球を続けたい。左投げへの挑戦を決めた。
外野から本塁に返球できるようになるまで、「とにかく、投げて、投げて、投げました」。三回、磨いた左腕の見せどころがやってきた。二塁打かと思われた左翼線への当たりを、好返球で単打に抑えた。
だが4年連続8強の修徳を相手に本塁が遠かった。窪田も安打が出なかった。「最後まで食らいつこうと思っていましたが……」。言葉が続かなかった。
「苦しい時も助け合ってきました。いい仲間と出会えました」。ともに戦い続けた選手たちに感謝した。そして、絶望の淵からもう一度野球に挑むチャンスを与えてくれた左ひじをさすった。「こいつにも、感謝しかないです」(抜井規泰)=江戸川区