第101回全国高校野球選手権東・西東京大会(東京都高校野球連盟、朝日新聞社主催)は8日、東大会の2回戦3試合があった。岩倉は六回に2点を奪って東洋との投手戦を制した。また、葛飾商は先取点を奪われたが、中盤以降の好機に着実に加点し、筑波大付に逆転勝ち。篠崎はコールドで渋谷教育渋谷を破り、3回戦に進んだ。9日は東大会の2回戦7試合と、7日に雨天中止となった西大会の1回戦のうち、1試合が予定されている。
ニュースや動画をリアルタイムで!「バーチャル高校野球」
バックに応え「最高の投球」 東洋・羽田一輝投手(3年)
2点リードされた八回裏。2死三塁の場面で、東洋の内野陣が、マウンドのエース羽田一輝(3年)の周りに集まった。残る東洋の攻撃は九回の1回のみ。もう1点もやれない。「まっすぐで勝負。打ち取るぞ」。声をかけ合った。迎える打者は前の打席で適時二塁打を放っていた。思い切り腕を振り、遊ゴロに打ち取ると拳を握った。
初回から緊迫した投手戦になった。投げ合いは望むところだった。羽田は内角を突く速球に、得意のスライダーを巧みに織り交ぜ、テンポよく投げ込んだ。岩倉も五回から、東京選抜に選ばれたエースが登板。互いに譲らず、スコアボードに「0」が並んだ。だが、羽田は六回に3長短打を許し、2点を奪われた。
東洋の登録選手は11人。高校で野球を始めた選手もいる。昨秋の都大会は1次予選で東海大菅生に5回コールド負けした。「歯が立たなかった」とエース。春の都大会は自らのけがと、部員がそろわず、チームは出場を辞退した。夏への思いが一層強くなった。
「このままで終わりたくない」。けがで練習ができない2カ月間は上半身を鍛えた。ウェートトレーニングや相手に両足を持ってもらい、両手で進む「手押し車」を日課にした。授業の合間におにぎりを食べるなどして食事量を増やし、走り込みも再開すると、球速が130キロ近く出るようになった。
東洋は前半、何度も三塁に走者を進めたが、あと1本が出ず、得点に結びつけられない。ただ、守備では難しいフライを中堅手の岡東慎之助(3年)が快足を飛ばして捕球。高校から野球を始めた左翼手の野沢洋一郎(2年)もミスなく打球を処理した。バックがもり立て、それに応えた羽田は8回を投げて被安打6。「毎回毎回守備に助けられ、力になった。最高のピッチングができたと思う」。チームの輪の中で誇らしげに言った。(山田知英)