(11日、高校野球西東京大会 明法9-6四商)
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九回表2死。四商の打席は主将奥秋大介(3年)だった。遊ゴロを放ち、一塁にヘッドスライディングした。そのまましばらく立ち上がれなかった。でも、涙はない。1年前はあんなに泣いたのに……。
昨夏の西東京大会2回戦。六回裏走者二、三塁のピンチに強いライナーが中堅を襲った。前進するか迷い、ボールは頭上を越えて背後へ。ランニング本塁打になり、コールド負け。借りを返したいと、主将に立候補した。
目指したのは明るく、元気なチームだ。この日も仲の良い中谷歩弥矢(ふみや)(同)と一緒に、笑顔で仲間を鼓舞し続けた。
元球児の父裕久さん(48)と兄大地さん(22)から「大切なのは元気」と教えられた。母美幸さん(49)は食事で応援。不得意だったサバのみそ煮を練習した。「兄で試し、上手になってから食べさせた」と笑いを誘う。練習内容や試合でのサインは選手たちで考える。一日の終わりには、その日の「いいね」を言い合った。
この日は二回までに5失点したものの、崩れずに三回に追いつき、最後まで粘った。そして、元気だった。試合後、全員で「いいね」ポーズで記念写真におさまった。そして奥秋は語った。「今年は悔いはありません」=ダイワハウス八王子(木村浩之)