予想は見事に外れた。金足農のエース吉田輝星だ。まさか、準優勝するとは。
頂点へ、近畿と関東の6強が軸 高校野球担当記者が分析
初めて彼の投球を見たのは7月24日、秋田大会の決勝だった。前評判通り、好投手だとは思った。それでも「8強もあり得るが、そこが限界か」。そんな分析をした。
秋田の夏は涼しい。金足農は30度超の中で一度も試合をしていない上、選手交代も一切なし。いくら何でも、たった9人で酷暑の甲子園を勝ち上がれるのか。それが判断の理由だった。
だが、結果は秋田勢103年ぶりの決勝進出。彼らの力を見抜けなかった。
投じた881球の中に、本人も「忘れられない」という一球がある。横浜との3回戦、九回2死。161球目に自己最速に並ぶ150キロを記録した。「力を入れてないのに不思議と出た」と吉田。「甲子園が自分を成長させてくれている」とも。本人の想像をも超えた夏だったに違いない。(吉永岳央)