「最強世代」と呼ばれてきた大阪桐蔭の3年生にとって、最後の公式戦。集大成でもやはり、根尾昂が光った。四回、1死一塁から済美(愛媛)・山口直哉の甘いチェンジアップを引きつけて、先制の中越え二塁打を放った。
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春夏連覇の中心選手として投打に輝いた18歳が言う。「チームメートの力が、自分だけでは経験できない財産を与えてくれた」。追加点が欲しい七回は、宮崎仁斗、青地斗舞の1・2番コンビが連続適時打を放ち、3得点。横川凱、森本昂佑、柿木蓮とつないでリードを守り、今年の公式戦を負け無しで終えた。
昨秋の新チーム発足後の通算成績は41勝1敗。主将の中川卓也はしみじみと振り返った。「勝ちたいと思うことは簡単でも、(チーム全体で)思い続けることが難しい。それができたとき、必ず大きな力になる。きょう勝って、本物の最強チームが完成したと思う」
そんなチームを見守り続けた西谷浩一監督も目を細めた。敗れた公式戦は、昨秋の明治神宮大会準決勝の創成館(長崎)戦だけ。「中川、根尾を中心に3年生が、無敗にこだわってやってくれた結果です」
ただ、注文も忘れなかった。「野球人としても、これからの方がずっと長い。次のステージに向けて、上のレベルを目指してほしい」。その思いを、選手は十分に理解している。根尾は言う。「高校野球は終わったけど、まだまだやりきった感じはしません。技術もフィジカルも考え方も全然(足りない)」
彼らは「最強世代」を証明してなお、高みを目指し続けていく。(小俣勇貴)