レンタカーを利用する外国人観光客が増えるなか、東北では紅葉が見頃を迎える10月の利用者数が突出している。空港などからの二次交通を補う役割を果たす一方で、事故増加の懸念も出てきた。東北6県などの自治体や観光関連の民間企業でつくる「東北観光推進機構」は、「外国の方が運転しています」と周囲に知らせるマグネットステッカーを配布するなど、事故を未然に防ぐ対策に乗り出している。
国土交通省によると、インバウンド(訪日外国人客)の増加に伴い、レンタカーを利用した外国人観光客は2011年の17万9千人から15年には70万5千人となり、5年間で4倍近くに増えた。
レンタカー全体で見ると、年間の事故件数は6千件程度とやや減少傾向で推移している一方で、外国人ドライバーによる事故は増えている。
公益財団法人交通事故総合分析センターは、観光や出張で日本に滞在してレンタカーを使った外国人ドライバーの交通事故を分析。過失割合の高い「第一当事者」になった件数は12年が19件だったのに対し、17年には121件と6倍になっていた。
こうした状況を受け、業界団体の全国レンタカー協会は今年1月、「訪日外国人向けレンタカーサービス向上アクションプラン」を策定。外国人ドライバーが運転していることを周囲に示すステッカーを配布するなどの安全対策を盛り込んだ。
1月現在で29都道府県が配布しているステッカーを、19年度中には全都道府県別に拡大し、地域ごとに特色あるステッカーを作製する方針だ。
東北でも、レンタカーを利用する外国人観光客は増えている。東北観光推進機構によると、東北地域での外国人観光客に対する17年のレンタカー貸し渡し回数は6935回。前年度比267%増で、外国人宿泊数の伸び(146%)を上回る。
機構は「東北を訪れる外国人観光客は比較的リピーターが多い。旅慣れた旅行者が、二次交通が脆弱(ぜいじゃく)な東北地域の観光にレンタカーを繰り返して利用している」とみる。
月別の貸し渡し件数は、10月が1936件と突出して多い。東北で見頃を迎える紅葉を見るため、公共交通機関では行きにくい渓谷にレンタカーで向かう人が多い様子が浮かびあがる。
点在する東北の観光地同士をつ…