宮城県は新しく、交通事故や病気、自殺などで親を亡くした小中学生のための奨学金制度を始めた。東日本大震災の遺児を支援する寄付が想定以上に集まったことから、震災遺児向けの奨学金を増額するとともに、理由を問わず親と死別したすべての子どもに支援が行き渡るようにした。
特集「小さないのち」
今年度からスタートした「遺児等サポート奨学金」は、震災以外の理由で親のどちらか、もしくは両親を亡くした県内の小中学生を対象に月1万円を給付する。小、中学校卒業時には15万~20万円の一時金も出す。小中の9年間で累計143万円の支援となる。対象者は毎年約900人と予想される。
財源は、震災遺児・孤児支援の寄付金を受け入れてきた県の基金だ。これまで約113億円の善意が寄せられた。
県はこの寄付をもとに、震災で親を亡くした未就学児~大学生に月額1万~3万円、入学・卒業時は一時金10万~60万円を給付。1千人を超す震災遺児・孤児を支援してきた。全員が大人になるまでに約34億円が必要になると見込んだが、寄付額がそれを大きく超えたため、使途拡大や増額を検討してきた。
この基金とは別に、県は交通事故遺児と海難遺児に月額3千円の「教育手当」を支給してきたが、震災遺児との待遇の差は大きい。その他の理由で親を亡くした子に公的な奨学金はなかった。「震災遺児には県の奨学金以外にも様々な支援がある。子どもにとって親のない状況に変わりはない。格差が広がらないよう配慮した」と布田秀一・県教育庁総務課長は説明する。
大口寄付者には個別訪問するな…