高校野球の秋季東海地区大会は21日、三重県伊勢市のダイムスタジアム伊勢などで準々決勝4試合があり、2年連続の選抜出場を狙う東邦(愛知1位)が登場。岐阜第一(岐阜3位)を7―0(七回コールド)で下し、4強入りした。
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四回1死満塁。右打席で際どいボール球をきっちり見送る。東邦の3番・石川昂弥(たかや、2年)には、ほほえむ余裕があった。「何が来ても打てると思ってました」。3球目、浮いたカーブを逃さず振り抜いた。勢いのある飛球は逆方向の右中間へ。ほどなくして、塁審がぐるぐると手を回し始めた。
高校通算35本目となるこの満塁アーチを含め、4打数4安打。そのうち2本が右方向への長打だ。持ち前のパンチ力で5打点をあげ、コールド勝ちを決めて笑顔がはじけた。「打ててるときは楽しいです」。今春の選抜では見られなかった顔だ。
大会注目の右打者として2年生ながら4番を任されたが、初戦で花巻東(岩手)に3―5で敗れた。自身は4打数無安打に終わった。「興奮して、舞い上がってて。自分の打撃じゃなかった」。笑う余裕もなかった。夏も西愛知大会決勝で敗れた。
新チームでは主将を任され、当然のように中軸を打った。ときには投手もこなし、この大会では背番号「1」に。色んな重圧は、笑い飛ばすようにしている。「主将が落ち込んでいたら、チームもそういう方向に向かう」。森田泰弘監督は「精神的に成長して、プレーにもいい影響が出てきた」と頼もしく感じている。
あと1勝で選抜出場にグッと近付く。「やっぱりもう1回甲子園にいって悔しさを晴らしたい」と石川。来春の甲子園では、打って笑うつもりだ。(小俣勇貴)