(4日、秋季四国地区高校野球大会決勝 高松商3―1松山聖陵)
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3年ぶり9度目の優勝を遂げた高松商が、この秋掲げた作戦がある。名付けて「コツコツネバネバ大作戦」。長尾健司監督(48)が、大事な大会前にキャッチーな作戦名を公表する大学駅伝の強豪・青山学院大の原晋監督をまねて掲げたチームの合言葉だ。
積極的でのびのびとした打撃で2015年秋の明治神宮大会を制し、16年の選抜大会でも準優勝を遂げた同校。当時と比べると「まだまだ」とみた長尾監督が、「苦しい場面でも強い気持ちで粘ってほしい」との思いを込めた。選手たちは、試合中に「コツコツネバネバ!」と呪文のように唱えながら、神宮大会への切符をつかんだ。
決勝では、同点で迎えた二回に、2死満塁で打席に立った岸本将翔(まさと)(2年)が四球を選んで押し出しの1点を得た。1死二塁で立った初回の打席では、打ち急いで引っかけた打球が遊ゴロになり、好機を生かせなかった。「追い込まれてもしっかり甘い球を見極めよう」と、こらえた結果が決勝点につながった。
9日開幕の明治神宮大会を前に、飛倉(ひぐら)爽汰主将(同)は「試合中にこの言葉が聞こえると、『焦らなくていいんや』という気持ちになれる」と話す。この日も冷静に四球を2度選び、2安打3盗塁とチームを引っ張った。「粘らないとチャンスは来ない。四国の代表として、全国の舞台で力を出せるように、課題を一つずつ克服したい」と気を引き締めた。
一方、この秋「メラメラ大作戦」を掲げ、この日の全日本大学駅伝に臨んだ「本家」の青学大は、四国大会決勝の試合中もレースに臨み、優勝。史上初となる2度目の学生駅伝3冠に王手をかけた。結果を知った長尾監督は「レベルが違う。僕らは二流。『ドッカン爆発大作戦』を掲げたいが、制球力、振る力、脚力、すべてをレベルアップしないと。反省だらけです」と話した。「コツコツネバネバ」は、もう少し続きそうだ。(高岡佐也子)