有名店の料理人でつくる「博多食文化の会」が設立から30年を迎え、福岡市で記念晩餐(ばんさん)会が開かれた。会のメインディッシュは、この日のために誕生した「今宵(こよい)一夜のコース料理」。会場となったホテルに足を運び、和洋中が織りなす品々を味わってみた。
「食の博多舞」と名づけられた晩餐会は、開場前から盛り上がりを見せていた。着物姿やロングドレス、総スパンコールのワンピースなど着飾った女性たちがあちらこちらに。有名歌手のディナーショーのように気合が入っている。
グランドピアノの生演奏が流れるなか、薄暗い会場で約400人の来場者をまず出迎えたのは食前酒のマティーニだった。福岡・中洲の名店「ニッカバー七島」の名バーテンダー七島啓さん(86)が、後を継ぐ2人の娘たちと美酒を振る舞った。
注目の料理は、会のメンバーが一品ずつ担当した。
卓上では、まず花月堂寿永の干菓子が客を迎えた。給仕が始まると、「八ちゃん堂」の明石焼きが出てきた。タマゴが新鮮でふわっふわだ。焼き鳥の老舗「藤よし」の大将、早川鴻之輔(こうのすけ)さん(82)が焼き上げるかしわの塩焼きと弁天は、熱々でなくても十分柔らかい。
お待ちかね、あのすしの有名店「やま中」のトロ、甘鯛(あまだい)の昆布〆、海老(えび)のにぎりには驚喜。写真も撮らず、一瞬で完食した。
宴は佳境に入る。華都飯店と頤和園、星期菜によるフカヒレのあんかけに悶絶(もんぜつ)。控えめで上品な旨(うま)みに職人の矜持(きょうじ)を見た。
ついにフレンチの名シェフで会…