「名古屋の台所」として親しまれている柳橋中央市場(名古屋市中村区)は30日、年越しや正月用の食材を求める客でにぎわった。市場の中核施設で来年閉鎖する「中央水産ビル」は最後の年の瀬を迎えている。
鮮魚の卸売業者など約70店が入る水産ビルは老朽化などで来年10月末をめどに閉鎖する。入居する「辻喜(つじき)」の辻雅之社長は「今日の売り上げは過去最高記録。明日の分がなくなっちゃう」と、午前10時前には店の片付けを始めた。
一方、「こんなにお客さんが来てくれるのに、このビルで営業できなくなるのは複雑だよね」とも明かす。ビル閉鎖後の対応は決めていないという。
名古屋市の会社員森典子さん(53)はこの日、水産ビルで大みそかに家族で食べる刺し身を買った。6年ほど前から毎年足を運んでいると言い、「今はお店で対面販売がなくなってきているから、(ビルが)なくなると寂しいですね。何らかの形で続けてもらえたら」と話した。
柳橋中央市場の大売り出しは、31日昼ごろまで。(佐藤英彬)