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北の新鋭、中高一貫強化で花開く 選抜に挑む札幌大谷

第91回選抜高校野球が23日に開幕する。昨夏、全国選手権は第100回の節目を終え、高校野球は新たな時代に入る。中高一貫での強化を実らせた初出場の札幌大谷は、今春の注目校だ。


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高1春に背番号「2」


北の新鋭だ。昨秋の道大会で初優勝し、明治神宮大会も制した。男女共学化に伴う創部から10年の春。初の甲子園へと乗り込む。


中高一貫校の利点を生かし力をつけた私学。中学には道内唯一の硬式野球部がありシニアリーグでプレーする。高校の2年生23人のうち19人がここの出身で、中3春の全国選抜大会で8強に入った。


当時は中高の校長が同じだったため、中3秋から高校の練習に参加できた。船尾隆広監督(47)は「もともと力のある世代で、中3時点で翌春から高校の試合に出せそうな選手が何人かおり、それを見据えて強化した」。


3番を打つ飯田柊哉(しゅうや)(2年)は主将で捕手。出場することはできないが、入学前から練習試合の際、船尾監督の横について配球などを学んだ。当時の高校のエースの変化球を止めるため捕球動作を鍛え、高1春の公式戦で背番号2をつけた。いまでは船尾監督に「飯田が捕手でなかったら、神宮でも勝てていない」とまで言わせる。


最速142キロのエースで4番の西原健太(2年)、ともに昨秋の打率が4割を超える2番釜萢(かまやち)大司(2年)、5番石鳥亮(2年)も1年春からの主力だ。つきあいが長い分、気心も知れる。「中学からずっとキャプテンをやっているので、僕がいちいち指示しなくても、みんな行動してくれる」と飯田。西原は飯田のサインに「1試合で数えられるくらいしか首を振りません」と言う。


中学の体験会参加者は倍増


中学にも専用球場があり、ほぼ毎日のように硬式球で練習できる。冬場は室内を使える。高校の躍進は大きな刺激だ。中学の有賀良太監督(33)は「身近な先輩が甲子園の切符をとってきた姿を間近で見て、モチベーションは大きくあがった」。今春、高校に進む将田明基(はるき)は、兄・勝基(2年)の後を追うように進学した。「あこがれていた世代。自分たちも甲子園に行きたいが、この学年がその道を見せてくれた」とうれしそう。昨秋に開催した中学野球部の体験会参加者は例年の2倍ほどだったという。


2月、専用球場には腰くらいの高さまで雪が積もっていた。練習メニューの一つに除雪があった。春、少しでも早く土の上でプレーできるよう、スコップで雪を掘る。キャッチボールは雪上だった。


過去90回、北海道勢の優勝はない。都道府県別勝率も下から8番目。秋の王者として期待を背負うが、「神宮は勢いが大きかった。自分たちの力を過信してはいない。まずは1勝を」と飯田。地に足を着け、歴史をひらく。(竹田竜世)



〈高校野球における中高一貫校〉 日本高野連は原則として、中学3年生が高校の練習に参加することを禁じている。ただし中高一貫の私学は、校長が同じなら、大会終了後の中3が高校の練習に参加することを認めている。札幌大谷は2018年度、中高の校長が別になったため現在、中学生は高校の練習に参加していない。


昨年、日本高野連と朝日新聞社が実施した高校野球実態調査(加盟校アンケート)では、「中高一貫校(地域連携は除く)ですか」との問いに、467校(11・9%)が該当すると答えた。そのうちの約半数の235校が大会終了後の中3を高校の練習に参加させていると答えた。


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