(26日、第91回選抜高校野球大会1回戦 東邦3―1富岡西)
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「最強」の友情応援が、東邦の選手たちの背中を押した。米国遠征のため、自校の応援がかなわなかった東邦のマーチングバンド部に代わり、大阪桐蔭の吹奏楽部が、三塁側のアルプス席で美しくも迫力満点の応援を披露。富岡西に押され気味だった試合後半には、甲子園でおなじみの大阪桐蔭の応援曲を織り交ぜて、勝ち越し劇を盛り上げた。
この日の応援は、東邦伝統の「戦闘開始」と呼ばれる曲からスタート。その後も、リズムに合わせて楽器や体を上下左右に動かす、同校のマーチングバンド部の持ち味もすっかり引き継ぐスタイルで、応援をリードした。
試合は接戦。昨秋の東海王者・東邦が、21世紀枠で初出場の富岡西に苦戦した。自慢の強力打線が、富岡西の浮橋幸太の変化球を打ちあぐねる。六回には1―1に追いつかれ、重苦しいムードが漂った。
するとその裏、甲子園ですっかりおなじみとなったファンファーレが球場に鳴り響いた。六回裏以降、大阪桐蔭の吹奏楽部が「最強世代」のチームに送り続けてきた楽曲を使っての応援だった。
大阪桐蔭の吹奏楽部は、全日本吹奏楽コンクールの常連としても知られる。昨年、史上初となる2度目の甲子園春夏連覇を達成した「100回世代」は、選手の名前とともに、打席で流れる応援曲も多くの人の記憶に残る。
東邦の選手たちも例外ではない。勝ち越した七回、3点目の適時打を放った石川昂弥は、根尾昂(中日)の曲。「根尾選手のだ!」。打席に入る際に気づいたといい、「うれしかったです」と満面の笑みを浮かべた。6番打者で、この日3安打の長屋陸渡は、青地斗舞(同志社大)の曲。「打ってやろうと闘争心が芽生えた。大阪桐蔭の選手になりきって打ちました」
一方、偉大すぎる選手の曲に圧倒されてしまった選手も。藤原恭大(ロッテ)の曲に乗り、七回の好機で打席に立った2番杉浦勇介は、「大阪桐蔭の選手はこんな気分で打席に立っていたんだ」と気持ちを高めた。ただ、結果は空振り三振。「打てるような気がしてきて、『自分が決める』と強く思いすぎてしまった。反省を次に生かしたい」
東邦のマーチングバンドが帰ってくるのは、準決勝からの予定だ。七回に勝ち越し打を放った松井涼太は「全国制覇を果たしたチームの応援をしてもらい心強かったが、東邦の応援も聞きたいので勝ち続けたい」と決意を新たにした。(高岡佐也子)