(29日、選抜高校野球 明豊2―1札幌大谷)
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札幌大谷の背番号「1」は、一度もマウンドに立つことなく、甲子園を去った。一塁手として出場した西原健太は試合を終えると、開口一番に言った。「悔しいです」。
四回1死満塁の好機で打席へ。甘く入った直球に反応したが、浅い右飛に。2球前の高め直球をファウルにしていた。「1球で仕留められず、打者の役割を果たせなかった」と、悔しがった。
試合が終わると、さらに大きい悔しさがこみ上げた。「あこがれの甲子園のマウンドに立てなかった」
星稜(石川)と対戦した秋の明治神宮大会では、決勝のマウンドで躍動し、優勝の立役者となった。甲子園のマウンドを目指し、真冬の北海道で雪を頭に積もらせながら走り込んだ。体のキレを求めるために、好物のスナック菓子も、「お店でも目に入らなくなった」というくらい高い意識を持って過ごしてきた。
そんなエースにアクシデントが襲った。大会直前の練習試合で、急に肩に力が入らなくなった。大事にはいたらなかったが、甲子園で投げるには調整が間に合わなかった。代わりにライバルでもあり、友でもある変速右腕の太田流星がマウンドを守ってくれた。「心強く、安心して見ていられた」
そう言う一方で、やはり「投げたかった」という思いは募る。「自分ももっと大きくなって戻ってくる」と、夏こそ甲子園のマウンドに足跡を残すことを誓った。