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北京五輪銀の末続、なぜ「異例の移籍」 アシックスへ

北京五輪男子400メートルリレー銀メダリストの末続慎吾(38)が、スポーツ用品メーカーのアシックスとアドバイザリースタッフ契約を結んでいることがわかった。契約は1日付。末続は長らく競合メーカーのミズノに所属。今回の「異例の移籍」とも言える契約の経緯は何だったのか。


末続慎吾38歳、現役にこだわるのは 休養・独立を経て


勝ち負けにこだわらない陸上クラブ 五輪銅の末続が設立


長年、陸上短距離界のスターだった。2003年からミズノに所属。同年の世界陸上パリ大会の200メートルで銅メダルに輝いたほか、08年の北京五輪400メートルリレーでも銅メダルを獲得(後に銀に繰り上げ)。同五輪後は長期休養を経て復帰したが、ロンドン五輪出場がかなわなかったこともあり、15年にミズノを退社した。「慰留があったが、会社としてやって欲しいことに応えられなくなり、ズレが出てきた」


しばらくフリーで競技を続けつつ、昨秋には陸上クラブを発足させた末続。新たな契約先を探していた中で、アシックスと契約したきっかけの一つが、昨秋に出場した全日本マスターズ陸上競技選手権大会を同社が協賛していることだった。


昨年末に末続がアシックスにアプローチ。当初、同社側は「なんでウチなんだろう」という雰囲気の対応だったようだが、次第に競技者を続けつつ陸上クラブを創設した姿勢などが同社の企業理念と一致し、契約に至った。末続はアシックス製のシューズを評価した上で、「(ミズノと)ライバルということよりも、アシックスが生涯スポーツにも力を入れていて、今の自分に向いていることが大きかった」。


ただ、末続は具体的な契約を進める前にはミズノにあいさつ。当時の関係者から「こういうことをするのは、今時珍しいな。陰ながら応援している」と言われ、移籍を後押ししてくれたことがうれしかったという。


アシックスには同じく、かつてミズノに所属していたアテネ五輪男子ハンマー投げ金メダリストの室伏広治さん(44)も現役引退後の17年にアドバイザリースタッフ契約を結んだ。くしくもかつてのミズノの陸上の看板選手がそろってアシックスに移籍したことになる。


末続は、室伏さんとはミズノ在籍時は食事に誘われたりするなど「一番かわいがってもらった」という。「室伏さんも引退してから(アシックスに移った)。選手は企業理念に吸い寄せられるのかもしれない」と話す。


今後、末続は同社のイベント参加をはじめ、陸上競技用シューズの使用、商品の研究開発などに協力する予定。



末続とのアドバイザリースタッフ契約についてアシックスは「競技レベルの向上を追求する末続選手の姿勢や、陸上クラブを創設し、走る楽しさを伝える伝道師としての姿勢が企業理念と一致した」としている。また、室伏さんと同じ契約を結んだことについては「どういうビジョンかが重要。今回はたまたま。ご本人の思いはそれぞれある」と話した。(松田光)


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