中国経済の新年度の目標をどのように設定するかが、例年の全国両会(全国人民代表大会・全国人民政治協商会議)で大きな注目を集める話題の1つだった。中国新聞網が伝えた。
今年に入り、突如襲来した新型コロナウイルスが中国の経済社会の発展にかつてない打撃を与えた。各方面が首を長くして待っているのは、まもなく開催される2020年の全国両会が通年の発展方向をどのように設定するかということだ。
第1四半期に、中国の国内総生産(GDP)は前年同期比6.8%減少し、GDPの四半期データを計算するようになってから、初めてのマイナス成長になった。中国国内の感染症対策で重大な戦略的成果を上げる一方で、海外では感染症が蔓延し、グローバル貿易が圧力を受け、金融市場が混乱するなどの要因があり、中国経済の見通しにはなお不確実性が横たわる。
特に全国両会の開催が延期された中で、各方面は今年の中国経済の発展目標をどのように設定するかについて、すでに一ヶ月以上も議論を続けており、とりわけGDP成長率の目標を取り消すかどうかが大きな論争になっている。
成長率目標の取り消しを支持する人々は、感染症の中で経済情勢がまだ見通せず、具体的な目標を設定すれば「副作用」が起こるという。たとえば中国人民銀行(中央銀行)金融政策委員会の馬駿委員は、「成長率目標が高くなりすぎれば、マクロ政策を『巻き添え』にして『湛水灌漑』を招いてしまう。経済政策の主要目標を雇用の安定と失業時の社会保障の提供に転換するべきだ」と提起した。
成長目標の据え置きに賛成する人々は、中国経済は今、企業活動再開の重要な時期にあり、合理的な目標を設定することは予想の安定にとってプラスだという。中国社会科学院世界経済・政治研究所国際投資研究室の張明室長は、「雇用の安定と経済成長率は関連するので、今年もやはり弾力性に富んだ年度成長目標を制定し、目標を踏まえて資源配置を調整するべきだ」との見方を示した。
表面的にみると、こうした見方は激しく対立しているようで、実は内在するロジックには共通点が少なくない。