中国経済がペースの速い発展から質の高い発展へとシフトチェンジする現在、人々は成長目標を設定するかどうかを議論する時、実はすでにきらびやかな数字には目を向けなくなっており、目を向けるのは成長目標をどうやって現実に近づけるか、国民生活により恩恵をもたらすものにするか、有効に指導し発展させるかという点だ。またこれは中国政府が経済発展の参照系を構築する際に遵守する重要な規範でもある。
実際、これまでの指令型の目標と異なり、今の中国政府が設定した各項目の年度経済発展指標がより多く発揮するのは予測の役割だ。過去数年間の政府活動報告を見返すと、GDP成長率目標値は「……前後」という柔軟な表現をされるか、「○○%から○○%まで」と一定の範囲として示されることが多かった。その目的は今後1年間の発展のルートとポテンシャルを展望することにあり、「数字の重荷」を背負うことではなかった。
現在、各方面が通年のGDP成長率目標に注目するより多くの原因として、中国は年内の小康社会(ややゆとりのある社会)の全面的完成を目指しており、「GDPを2010年比で2倍」が重要な指標の1つであり、この指標を達成するには一定の経済成長率が必要だということが挙げられる。
しかし国務院発展研究センターの元副センター長の王一鳴氏は、「小康社会の全面的完成は全面的で大きな変化であり、経済、政治、文化、社会、生態環境など各方面に関わり、『量』をみる上、さらに『質』に注目する必要がある」と述べた。
王氏の言うように、「小康」の2文字が映し出すのは、国民の生活のレベルと状況だ。小康社会の全面的完成にはひとまとまりの指標体系が含まれ、その中にはGDPと都市部・農村部の個人平均収入を2倍にするという量的目標が含まれる上、貧困脱却の難関攻略という獲得感に焦点を当てた質的目標も含まれ、さらには政治、文化、生態文明といった「ソフト面の目標」も含まれる。
王氏はこれについて、「一部の量的目標に統計的にやや違いはあるものの、この違いは感染症の影響を受けて生じたものであり、全体として小康社会の全面的完成のプロセスに影響することはない」と指摘した。