今年、観客の実数発表をしたおかげで、日本で最も多くの観客が入る球場と証明された甲子園。第3戦に詰め掛けた4万7753人のうち、左翼スタンドの上部の2ブロックと、三塁側のごく少数を除けばぐるりと周囲は阪神ファンだ。
2年前のあの強かったダイエー(現ソフトバンク)でさえも、独特の雰囲気に飲まれた球場なのに、ロッテの選手は動じることがなかった。
最も影響を受ける先発の小林宏は「打者に集中していたので、聞こえなかった」とさらりと受け流し「降板後は聞こえたが、まあ予想通りでした」。以前に小林宏が語ったことがある。「福岡ドームはいまでも慣れないんですよね。ドームに歓声がこもる感じがして……」。満員の応援がほぼ相手チーム一辺倒なのは、福岡ドームでのソフトバンク戦も同じこと。だが、甲子園は上空が開けている分、まだましだ、と選手たちは感じているようだ。
プレーオフを採用しているのはパ・リーグだけだ。だからパの代表チームは、試合間隔があくセの代表よりも、勢いづいてシリーズに臨めるから有利だとは戦前からいわれていた。おまけに、今年のロッテは、球場の雰囲気までも、直前の福岡での第2シリーズで予行演習できたのだから、プレーオフさまさまの王手だ。【冨重圭以子】