全国の法務局に備えられ、土地の境界を明確に記した地図の整備が首都圏や大都市で進んでいないことが5日までに、法務省への取材で分かった。昨年4月時点の整備率は東京で19%、大阪12%、名古屋21%。再開発事業が遅れる原因にもなっており、法務省は関係機関と連携し、本年度から10年計画で重点整備に乗り出す。
不動産登記法は、土地の区画を明確にし、それぞれに番号(地番)をつけた地図を法務局に備えると規定。これを「登記所備え付け地図」と呼び、市区町村が実施する地籍調査と法務局の調査などに基づいて作製される。大都市は法務局が担当することが多い。
法務省によると、未整備地域では、境界画定に時間がかかって開発プロジェクトの進行が遅れたケースがあるほか、税務署による固定資産税の課税や、ローンを組むための土地の担保設定に支障が出ることもある。
政府は2003年、13年度までに都市部での整備完了を目標に設定。ところが法務省が昨年4月1日時点の法務局別整備状況を調べたところ、大都市の達成率が低いことが分かった。最も低かったのは横浜の6%、高かったのは佐賀の97%だった。
法務省の担当者は「都市部は狭い地域に多くの地権者が存在し、境界画定に理解を得るのが難しい」と説明。「東京五輪などに向けて大規模開発が予想されるので、急ピッチで進めたい」と話している。