「理解すらできない」。米軍普天間基地(沖縄県宜野湾市)の名護市辺野古への移設を巡り政府が代執行訴訟を提起したことを受け、翁長雄志知事は17日に記者会見し、厳しい言葉を並べて政府を強く批判した。県側も政府を相手取った訴訟を起こす方針で、移設問題は法廷に主舞台を移すこととなった。
「一方的に基地を押しつけてくるのは法の下の平等の原則に反する。海上での『銃剣とブルドーザー』のようだ」。翁長知事は県庁での会見で、提訴した政府をバッサリ。戦後の米国による土地の強制接収を批判する際に使われる言葉をあえて引用し、怒りをあらわにした。
政府が辺野古移設の意義を普天間の危険除去のためと主張したことについては、「老朽化した普天間に代わる強力な新基地が必要なのでは。日米安保や防衛上の理由だけで(移設を)やっていると考えざるを得ない」と疑問を呈した。
その上で、12月2日に福岡高裁那覇支部で開かれる第1回口頭弁論には「(意見陳述する)機会があれば全力でやりたい」と改めて表明した。仮に敗訴となった場合の対応を問われ「政府が敗れた場合は辺野古(移設)をやめるんですね、と政府側に聞いてほしい」と気色ばむ場面も。「私たちは正しい権利を主張している。敗訴の想定で答えるのは意味がない」と一段と声を強めた。
昨年の県知事選での初当選から1年が過ぎた。この間の政治活動を振り返り「多くの方々に思いを伝えられたが、日本政府には通じていない」と無念そうな表情も浮かべた。「だからこそ(司法の場で)問題の本質を県民と国民にみてほしいと思う。辺野古に基地を建設することは何があっても容認できない」と口元を結んだ。