米軍普天間基地(沖縄県宜野湾市)の名護市辺野古移設問題で、沖縄県は、翁長雄志知事が辺野古沿岸部の埋め立て承認を取り消した効力を石井啓一国土交通相が停止したのは違法だとして、25日午後に那覇地裁へ提訴した。国が埋め立て承認取り消しの撤回を翁長氏に求めた代執行訴訟は今月2日に弁論が始まった。県の提訴で、辺野古移設に関する二つの裁判が同時進行する異例の事態に発展する。
翁長氏は25日朝、出張先の東京都内で共同通信の取材に応じ、提訴の理由について「けじめをつけたいということだ」と述べた。その後、記者団に「沖縄県の立場を記者会見でしっかり説明したい」と強調した。午後5時から会見する。
第三者機関の国地方係争処理委員会は24日深夜、国交相決定に関する翁長氏の審査申し出を却下する結論を下した。これにより、国と県の攻防の舞台は法廷に集約される形となる。
県が起こす訴訟は「抗告訴訟」と呼ばれ、係争処理委への申し出とは別に県が準備を進めていた。提訴に併せて国交相決定の効力停止も申し立てる。提訴時期については年明けで調整していたが、係争処理委が結論を出したことなどを踏まえ前倒しした。
県は係争処理委に主張が受け入れられない展開を見越し、訴訟の準備を進めてきた。国が起こした代執行訴訟は、次回弁論が来年1月8日に開かれる。〔共同〕