松井一郎大阪府知事と吉村洋文大阪市長は28日、府市の共同組織「副首都推進本部」の初会合を府庁で開いた。府市特別顧問に就任した猪瀬直樹前東京都知事ら有識者を交え、副首都の定義や機能、役割などの議論を開始。来年秋をめどに副首都のビジョンの取りまとめを目指す。
今年11月の知事・市長ダブル選で公約した大阪の副首都化の検討が始まった形だが、松井、吉村両氏はその先に、大阪維新の会が提唱し、5月の住民投票で否決された「大阪都構想」への再挑戦を見据えている。
会合では、副首都に必要な機能などを約2時間半にわたり議論。松井、吉村両氏がダブル選で訴えた中小企業庁や特許庁など中央省庁の大阪移転が話題になった。松井氏は「統治機構を変えることは(東京との)二極をつくるための手段。日本を引っ張るエンジンをつくる」とし、副首都の「分かりやすい概念をつくりたい」と話した。
猪瀬氏は「霞が関から省庁を離すと抵抗される」と指摘。納税の代わりに寄付された資金をNPO法人に分配する「公益庁」を国の機関として新設し、大阪に設立してはどうかというアイデアを披露した。
府市特別顧問の堺屋太一・元経済企画庁長官は、寄付を促す仕組みを整えることが重要だと述べた。
松井氏は会合後、公益庁について「非常にいいアイデア」と評価し、府市と経済界が共同設置した「大阪観光局」と同様に「民間にも入ってもらい、既成事実をつくっていきたい」と話した。吉村氏も「新しい公共のあり方だ」と支持した。
副首都推進本部の事務局は府市から併任を受けた職員が務める。松井、吉村両氏は共同部局の「副首都推進局」を来年4月に新設して事務局機能を担わせる予定で、2月開会の府市両議会に設置条例案を提出する。
一方、維新は年明けから大阪市民の意見を聞くタウンミーティングを始める。推進局設置後は、府市も説明会を開く。約3年かけて都構想の協定書(設計図)を修正し、松井氏らの任期中に改めて住民投票で都構想の是非を問うことを目指す。