熊本大学の4年生は自宅からリクルートスーツを持って避難所に来ていた=17日、熊本市、神沢和敬撮影
熊本県や大分県など地震が続く地域の大学生が就職活動で不利益を受けないよう、配慮する動きが広がっている。就職活動が山場を迎えつつあるなか、避難者もいるため、別日程の選考を決めた企業もある。経団連は18日、会員企業に柔軟な対応を求めた。
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来春卒業する大学生の就職活動は、今年は経団連の指針で3月に会社説明会が、6月に面接などの選考が解禁される日程で進む。選考解禁が8月だった昨年より「短期決戦」で、企業によっては事実上の面接を始めているところもある。
就職情報会社マイナビの調べでは、説明会や選考への参加登録(エントリー)の受け付けは85・5%の企業が3月から開始。多くが4月に期限を設けている。
被災地の大学生の中には、地震で一時避難している人もいる。説明会や面接に行こうとしても、交通網が寸断されて移動できないケースもある。
経団連の榊原定征会長は18日記者団に、「停電や地震で応募の書類をつくれず、会社説明に行けないことがある。そういった学生に向けて特別な配慮をするように呼びかけている」と述べた。
三菱商事は適性検査の登録期限が22日に迫るが、被災地の学生は「連絡があれば個別に対応する」。旭化成は被災地からエントリーしている学生に連絡を取り「説明会などに出られない場合は個別に調整する」という。
大手銀行では別日程で選考するところもある。三井住友銀行は熊本、大分に住んでいたり、出身地だったりする学生を対象に、通常とは別の選考日程を用意する。三菱東京UFJ銀行は九州に住む学生を対象に、8~9月にも選考を実施する方針だ。みずほ銀行も同様の対応をするという。
パナソニックは会社説明会をほぼ終えているが、出られなかった人がいるかもしれないとして、改めて開く。5月のエントリーシートの応募締め切りも延長を検討する。
サントリーホールディングスはエントリーシートの締め切り延長を決めた。熊本、大分に住んでいる学生、または親族が被災した学生は、今月20、21日の締め切りを5月10日に延ばす。(神沢和敬、細見るい、堀籠俊材)