沖縄県で米軍属の男が女性の死体遺棄容疑で逮捕された事件を受け、中谷元・防衛相は21日夜、カーター米国防長官と電話で協議した。中谷氏は「卑劣な行為による極めて残忍で凶悪な事件の発生は言語道断であり、極めて遺憾だ」と抗議し、綱紀粛正と再発防止を求めた。カーター氏は「被害者と遺族に心から深い謝罪を表明し、事件の捜査に全面協力する」と答えた。
中谷氏は約20分間の電話協議後、カーター氏の謝罪について「(事件を)日本も重く受け止めているが、米国もそれ以上に深刻に受け止めている」と記者団に語った。両氏は6月上旬にシンガポールで行われる「アジア安全保障会議(シャングリラ・ダイアローグ)」で日米防衛相会談を行うことも決め、中谷氏は「沖縄の問題、米軍人、軍属による事故防止も一つのテーマになる」と述べた。
中谷氏は同日、同県嘉手納町で在沖縄米軍トップのローレンス・ニコルソン四軍調整官とも会談し、事件に抗議。同県名護市で営まれた女性の告別式に参列後、「未来のある若い大切な命が失われたということに強い悲しみと怒りを感じた。このような事件は本当にあってはならない」と述べた。翁長雄志沖縄県知事や島尻安伊子沖縄北方担当相も告別式に参列した。
一方、岸田文雄外相は21日、主要7カ国(G7)首脳会議(伊勢志摩サミット)に合わせて行われる日米首脳会談で、安倍晋三首相がオバマ米大統領に再発防止策を求めていくとの認識を示した。秋田市で記者団に「首脳会談など、様々な機会をしっかり活用する姿勢は重要だ」と語った。(二階堂勇、安倍龍太郎)