バレエの若手登竜門、ユース・アメリカ・グランプリで1位入賞した倉智太朗さん(左)と三宅啄未さん=14日、ニューヨーク、鵜飼啓撮影
若手バレエダンサーの登竜門の一つ、「ユース・アメリカ・グランプリ」の最終審査結果が14日、米ニューヨークで発表され、シニア(15~19歳)の男子部門で福岡県出身で米国在住の倉智太朗さん(18)が1位に入賞した。最上位の最優秀賞該当者はなかった。ジュニア(12~14歳)男子部門では三宅啄未さん(13)=香川県丸亀市=が最優秀賞に次ぐ1位に入賞した。
倉智さんは15歳のときにベルギーに留学。ドイツでも2年過ごした後、昨年9月からニューヨークのバレエ学校で学んでいる。受賞後、「準決勝では緊張して精神的な部分で良くなかったところがあったが、決勝に進めると分かり、楽しく踊ろうと思った」と振り返った。
三宅さんはバレエ教師の母親の影響で3歳からバレエを始めた。初めての世界大会挑戦での入賞だ。「劇場が大きくて緊張した。ひざとつま先、体の先端を伸ばすように気をつけて、表情をつけて楽しく踊った」という。英ロイヤル・バレエ団のトップダンサーになるのが目標だという。(ニューヨーク=鵜飼啓)
■ローザンヌと並び重要性増す
ユース・アメリカ・グランプリは9~19歳の若いダンサーへの支援と育成を目的とし、1999年に米ニューヨークで創設された。近年、ローザンヌ国際バレエコンクール(スイス)と並んで重要性を増しつつある。上位入賞者には欧米の名門バレエ学校などへの奨学金が与えられる。米国ほか日本、オーストラリア、フランスなどでの予選を経てニューヨークでの本選に臨む。日本からは昨年もジュニアの男子部門1位が出るなど上位入賞が続く。パリ・オペラ座で活躍するオニール八菜(はな)さんは10年に、シニアのクラシック女性部門で最優秀に次ぐ金賞を受賞している。
舞踊評論家の守山実花さんは「入賞したから即スターというわけではないが、上位入賞が続くのは日本人ダンサーに実力がついてきている証し。さらに表現力や内面性を磨いてほしい」と話す。