宇都宮市の認可外保育施設で2014年7月、生後9カ月の乳児に適切な医療措置を受けさせずに死亡させたなどとして、保護責任者遺棄致死罪と暴行罪に問われた施設の元責任者、木村久美子被告(59)の裁判員裁判で、宇都宮地裁は15日、求刑通り懲役10年を言い渡した。佐藤基裁判長は「保護者の信頼を著しく裏切った被告の刑事責任は非常に重い」と述べた。
判決によると、「託児室といず」の責任者だった被告は、14年7月23日から宿泊保育中の山口愛美利(えみり)ちゃんに下痢や発熱の症状が出て元気がないのを認識していたのに、医師の診察を受けさせずに放置し、3日後に熱中症で死亡させた。また、別の乳児2人に毛布を巻き付け、その上からひもで縛る暴行を加えた。
被告は暴行罪を認める一方、保護責任者遺棄致死罪は否認。弁護側は、愛美利ちゃんが生存に必要な保護を要する状態という認識はなかったと主張していた。
判決は、愛美利ちゃんの体調は明らかに異常で、被告は容体を認識していたと認定。佐藤裁判長は、施設に嘱託医がいるなどとうそをついて利用者を集めていた点を挙げ、「詐欺的でずさんな保育が背景にあった」と述べた。(山下裕志、伊吹早織)