トルコのイスタンブールでは今月10日からユネスコ(国連教育科学文化機関)の世界遺産委員会が開催中で、16日夕方にも国立西洋美術館本館(東京都台東区)の世界文化遺産登録が決まる見通しだった。
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しかし、世界遺産委は急きょ延期された。地元、台東区役所で宮田亮平・文化庁長官らが決定を見守る予定だったパブリックビューイングも中止された。
文化庁の岡本任弘・世界文化遺産室長によると、職員2人と同庁参与の稲葉信子・筑波大教授を現地に派遣しているが、全員同じホテルで待機しているという。「まずは関係者が無事に戻ってきてくれることが何よりだと思う」
西洋美術館の関係者として、現地に滞在中の山名善之・東京理科大教授は朝日新聞の取材に「日本総領事館からは、指示があるまで絶対に外に出ず、窓の近くにいかないように指示されている。目の前にいるのかと思うほど近くで、パンパンという銃声や爆発音が聞こえた。BBC、CNNなどを見ているが、情報が錯綜(さくそう)し、何が起きているのかわからない」と語った。
西洋美術館は、フランスの建築家ル・コルビュジエ(1887~1965)が設計。日仏などが西洋美術館を含む各国の作品を共同推薦し、ようやく3度目の挑戦で国内20件目の世界遺産となる見通しだった。(守真弓)