元米海兵隊員で軍属の男が沖縄の女性を殺害した罪などで起訴された事件をきっかけに、「反基地」の声が高まる沖縄で、基地と関わりを持つ日本人の胸のうちは複雑だ。怒りを共有しつつ葛藤する人たちに会った。
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特集:沖縄米軍と事件
「事件の悲惨さが明らかになるほど怒りがわく。半面、不安も強くなる」。沖縄で生まれ育ち、米軍人と結婚した30代の女性が打ち明けた。沖縄本島中部に住み、米軍人との間に小学生の子どもが2人いる。
事件後、各地の集会で「全基地撤去」のプラカードが揺れ、6月19日の県民大会でも「海兵隊の撤退」などを求める決議が採択された。女性は「基地をなくせという思いはよく分かる」と言う一方、「軍人全員が罪を犯す可能性があるように見なされるのはつらい」と表情を曇らせる。
米軍関係者用の「Yナンバー」の車を自ら運転するとき、夫に似た容姿の我が子と道を歩くとき……。反基地の怒りが自分たちに向かないかと恐れているという。「9・11(同時多発テロ)の後、米国にいたイスラム教徒もこんな思いだったのかな」と漏らした。
「戦争でつらい思いをした沖縄…