選手の輪に入り、指導する瀬川智広ヘッドコーチ=千葉県成田市
昨秋のワールドカップ(W杯)で歴史的3勝をあげた男子ラグビー。リオデジャネイロ五輪から正式競技となる7人制を率いるヘッドコーチ(HC)の瀬川智広さん(45)は、「我々も7人制の歴史を作る」と意気込む。体格やパワーに勝る強豪国に勝つため、代表経験のない小柄なHCが目指すのは、考えて動き回る独特のラグビー。「究極の鬼ごっこ」と呼ぶ。
特集:リオオリンピック2016
「動く、動く、動きだし!」。7月初旬、千葉県であった代表合宿で瀬川HCの声が飛んだ。選手は細かく、細かくパスを回す。目指すのはボールも選手自身も動かすラグビーだ。
「一人一人の能力は正直、世界に勝てない」と瀬川HC。ニュージーランドや南アフリカなど「ラグビー大国」の選手に正面から体をぶつけても、まだかなわない。
ただ、7人制はフィールドが通常の15人制と同じ広さ。抜け出せば一気に得点につながる。しかも7分ハーフ。いかに作戦を理解して、短時間の中で実践できるかが鍵だ。
練習中、選手の足が止まりかけると「なんで今そうしたんだ!」と問いかけてプレーを止め、練習の意味を確認する。桑水流裕策(くわずるゆうさく)主将(30)は「すごく理論的に教えてくれる。納得しながらラグビーができている」と信頼を寄せる。
瀬川HCのラグビー観は、自身…