パラリンピックの男子柔道(視覚障害)100キロ超級で連覇を目指し、天理大で練習に励む正木健人=奈良県天理市、井手さゆり撮影
7日(日本時間8日)に開幕するリオデジャネイロ・パラリンピックの男子柔道(視覚障害)100キロ超級で、正木健人(29)が2連覇に挑む。複雑な思いで首にかけたロンドンの金メダル。その後はスランプにも陥った。そんな正木が指導を求めたのが、五輪元代表の穴井隆将さん(32)。かつてどん底を経験した先輩の教えが、連覇への思いを強くさせている。
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2012年、ロンドン・パラリンピック。決勝で正木は寝技で一本勝ちし、優勝を決めた。しかし、喜びを爆発させることなく、淡々と畳をおりた。
「健常者に交じれば一番になれない。金メダルに価値を見いだせなかった」
先天性の弱視で、幼いころから目が見えにくかった。それでも恵まれた体格を生かし、高校時代は高校総体で3位。強豪、天理大柔道部に進んだ。全日本選手権出場や警察官になることが目標だった。
大学4年の時、色を識別できないほど視力が悪化。今では視野の9割が欠けている。スマートフォンは、画面がおでこにつくぐらい近づけなければ見えない。夢を諦め、あん摩マッサージ指圧師の国家資格を取るために進んだ盲学校で、視覚障害者柔道を知った。
11年、初出場した世界大会で優勝。しかし、「障害者の大会だから」という思いが胸を占めた。ロンドンの金メダルまでの道のりにも、苦労を感じなかった。
ロンドン大会後、正木の柔道は…