がん対策の基本となる検診の受診率の算定方法が市区町村ごとにバラバラで対策が不十分だとして、総務省は30日、厚生労働省に改善を勧告した。改定作業中の新しいがん対策推進基本計画への反映を求めたのに対し、厚労省は前向きに対策を講じるとしている。
総務省が17都道府県の52市区で2014年度の受診率を調べたところ、厚労省が定めた方法で算出したのは8市区(15%)にとどまり、44市区(85%)は受診率が高く出る方法をとっていた。「対策に必要な受診率が正確に把握できておらず、市区町村ごとの比較ができない」と指摘、厚労省に対し算出方法を再検討し、自治体に周知徹底するよう促した。
検診の精度にも問題があった。北海道のある病院では、13年度の胃がん検診で精密検査が必要な人の割合が37%で、受診者に不必要な負担をかけないよう定めた上限値の11%を大きく上回っていたと指摘。検診の精度管理を自治体に徹底させるよう求めた。
がんの痛みや不安を和らげる緩和ケアも、来年6月までに全国のがん診療連携拠点病院の主治医・担当医の9割が研修を受けるという目標だが、調べた51病院(約5千人)では昨年9月時点で55%しか受けていなかった。「一部病院では目標達成が困難と考えられる」と指摘、受講をすすめるよう促した。(竹野内崇宏)