7月の参院選で「一票の格差」が最大3・08倍になったのは投票価値の平等を定めた憲法に反するとして、弁護士グループが選挙の無効を求めた訴訟の判決が18日、高松高裁であった。吉田肇裁判長は「合区」導入で格差が縮小されたことなどから「投票価値の不均衡は看過し得ないほどの状態に達しているとは言えない」とし、「合憲」と判断。請求を棄却した。
一連の訴訟は、二つの弁護士グループが全国の14高裁・支部で起こしている。すでに判決のあった広島高裁岡山支部と名古屋高裁金沢支部はいずれも「違憲状態」だった。
最高裁は2010年(最大格差5・00倍)と13年(同4・77倍)の参院選を違憲の一歩手前となる「違憲状態」と判断。これらの判決は「現行の仕組みを維持しながら投票価値の平等を実現することは、著しく困難」などと指摘し、都道府県を選挙区として定数設定する制度の見直しを求めた。
このため、国会は鳥取と島根、高知と徳島をそれぞれ一つの選挙区とする「合区」などで定数を「10増10減」する改正公職選挙法を昨年7月に成立させ、格差は縮小していた。今月14日の岡山支部判決は「違憲の問題が生ずる投票価値の著しい不平等状態が残存していた」とする一方、合区を一定評価して請求は棄却。17日の金沢支部判決も同様の判断をしていた。(森下裕介、阿部峻介)