落下した「札幌かに本家札幌駅前本店ビル」の看板の一部=2015年2月15日、札幌市中央区、北海道テレビ提供
札幌市の繁華街で昨年2月に飲食店の看板が落下し、通行人の女性に直撃して意識不明の重体となった事故が起きて以降、全国で同様の看板落下が少なくとも41件発生していたことが国土交通省の調査でわかった。老朽化した看板は全国に多数あるとみて、国交省は自治体に点検を徹底させる方針だ。
札幌市中央区で昨年2月、「札幌かに本家札幌駅前本店ビル」の金属製の看板の一部(重さ約25キロ)が高さ15メートルから落下し、歩道を歩いていた20代の看護助手の女性に当たった。女性は頭の骨が折れる大けがを負った。看板は設置から30年以上たち、ビル外壁との接続部分が腐食していたが、店側は「異状なし」と市に点検報告し、市も見逃していた。
この事故を受け、国交省は全国の自治体に落下事故について報告を求めた。その結果、昨年6月から今年9月末までに41件報告され、打撲など負傷事故も数件あったと判明した。
看板の新設や許可の更新は年間数十万件以上ある。店舗が屋外に看板を設置する場合、屋外広告物法に基づく条例により、都道府県や政令指定都市から許可を得なければならない。自治体は店側に1~3年に1回の点検報告を求める決まりになっている。
ただ、札幌市を含め、多くの自治体は壁面のひびや看板の腐食、ボルトの緩みなどの点検結果を「有」「無」の二択で報告させるだけだ。点検の具体的な方法は定めていなかった。国交省は札幌の事故を受け、より詳細な状況把握が必要と判断。綿密な点検を求めるとともに、報告の際は看板の写真を添付させたうえ、「良好」「経過観察」「要改善」「即時修理」の4段階で評価する方法の導入を促すことにした。
点検や報告内容が専門的になる…