大学の共同研究は増えている
国からの運営費が削減される中、盛んになる一方の「産学連携」。だがチェックはずさんだった――。大阪大と中堅ゼネコンの共同研究をめぐる汚職事件では、大学を取り巻く環境の激変が背景にあることが明らかになってきた。収賄容疑で逮捕された阪大大学院工学研究科教授の倉本洋(ひろし)容疑者(57)は建築耐震工学の第一人者で、共同研究を望む企業が相次いでいた。
産学連携は、国立大が法人化された2004年、国立大学法人法で大学の重要な役割の一つとされた。04年度以降、国の運営費交付金は今年度までに約1470億円減った。文部科学省によると14年度、全国の大学などと企業の共同研究は1万9070件で、企業が出した研究費は416億円。10年前の2倍以上だ。
一方で、ルール策定は大学側に委ねられた。阪大は04年、共同研究は大学と企業が契約を交わし、企業は大学の指定口座に研究経費を入金すると定めた。しかし、抜き打ち調査はなく、学内の施設を利用する企業のチェックもない。実際は担当教授らに任せきりだった。阪大は22日、再発防止の委員会を設置。教授らの研修などを検討し始めた。
大阪府警によると、倉本容疑者…