宇都宮市の認可外保育施設で2014年、体調が悪くなった生後9カ月の乳児に医師の診察を受けさせず死亡させたなどとして、保護責任者遺棄致死などの罪に問われた施設の元責任者、木村久美子被告(60)の控訴審判決が24日、東京高裁であった。朝山芳史裁判長は、「乳幼児の人格を顧みず、物同然に扱った被告の刑事責任は相当重い」と批判。懲役10年とした一審・宇都宮地裁判決を支持し、控訴を棄却した。
高裁判決は、預かってから3日後に死亡した山口愛美利(えみり)ちゃんの症状について、「下痢や38度超の発熱が続き、親であれば医師の診察の必要性を感じさせる重篤な状態だった」と指摘。木村被告が放置したことで死亡したと認めた。
弁護側は保護責任者遺棄致死罪について無罪を主張したが、判決は「保育士である被告が、医療措置の必要性を全く感じなかったというのは不自然だ」として退けた。