世界スプリント選手権で総合優勝を果たし、笑顔の小平奈緒=AP
(26日、世界スプリント選手権)
小平奈緒、日本女子初の総合V スピードスケート
カルガリーのリンクに君が代が響いた。表彰台の最上段に立った小平は「500メートルと1000メートルの両方の滑りが試される舞台。総合力で勝てた」。日本勢30年ぶりの快挙に胸を張った。
総合優勝に向け、カギは日本勢にとって長年の課題だった1000メートル。500メートルではワールドカップなどで今季11戦無敗と圧倒的な力を持つ。1000メートルは「飛び抜けた領域にない」と自覚していたが、気負いはなかった。大会初日、自身が持つ日本記録を1秒47更新して1位。最終種目となったこの日もタイムをまとめて3位に入った。
短距離で世界と戦うために、日本スケート連盟の湯田淳スピード強化部長は「ベースとなる持久的な能力が必要不可欠」と話す。
小平は元々1500メートルも滑れる選手。昨季まで2年間スケート王国・オランダで技術を磨き、今季は食事管理も徹底するなど、ハードな練習に耐えうる体作りに成功。1000メートルで世界と渡り合う持久力がさらに底上げされた。
来年の平昌五輪では、金メダルの最有力候補。小平は自らをリンゴの木に例えて言った。「今季はやっと実がなり始めた。熟すのはまだ先。これから自分の栄養になるものを探していきたい」(榊原一生)