国の制度を使って不正な貸し付けを繰り返していた政府系金融機関の商工組合中央金庫(商工中金)に対し、金融庁が今月、立ち入り検査をすることがわかった。すでに経済産業省などが業務改善命令を出しているが、金融機関の検査ノウハウをもつ金融庁による本格的な内部調査を通じて、実態解明をめざす。
経産、財務両省とも協力して十数人から成るチームを組む。麻生太郎財務・金融相は23日の閣議後会見で、「準備ができ次第、さっさと立ち入り検査を行うことを決めた」と話した。
商工中金は、災害や景気の変動で業績が悪くなった企業に低利で資金を貸し出す国の「危機対応業務」を使って、不正な融資を繰り返していた。融資の実績をあげるために、書類を改ざんしたり、組織的に不正を隠蔽(いんぺい)したりしていたことがわかっている。
商工中金を所管する経産省は商工中金に不正の全容解明を強く求めている。一方で同省は、商工中金に危機対応業務に基づく融資を促してきた立場。そこで、政策的にも距離のある金融庁に、金融機関としての内部統制のあり方や経営陣の関与などについて、客観的に調べてもらう方針だ。検査の結果によっては、追加の行政処分が出る可能性もある。