桶狭間の戦いについて観光客に説明する梶野泉さん=名古屋市緑区の桶狭間古戦場公園
織田信長が天下取りに踏み出した桶狭間の戦い(1560年)をテーマとする観光に、名古屋市緑区の住民や市が力を入れている。数少ない歴史遺構が互いに離れているため、市は史跡を結ぶバス路線を新設した。抜群の知名度を集客につなげようと、関係者は意気込んでいる。
「とにかく人に来てもらいたい、観光でまちおこしをしたいという思いだった」と語るのは、有松商工会(緑区)の梶野泉会長(68)。2008年に近所の人と桶狭間古戦場保存会を作り、09年から会長を引き受けている。寄付を募って、10年には緑区の桶狭間古戦場公園に信長と義元の銅像を建てた。
「今川方は農民兵だった一方、織田方の兵は訓練されていた。戦いは約2時間で終わったそうですよ」。5月の平日午前、公園で夫婦の観光客を見つけると、滑らかに説明した。
梶野さんによると、公園を訪れる観光客は去年までは月800~900人。ところが今年はNHK大河ドラマの効果で月2千人ほどに増えた。主人公・井伊直虎の父直盛は桶狭間の戦いに今川方で従軍し、戦死した。公園近くには直盛が布陣したといわれる場所があり、ドラマの視聴者らが見学に訪れているという。
有松絞の土産店や有松駅周辺の飲食店を訪ねる人も増え、商工会員に感謝されているという。「『桶狭間』の知名度は別格。全国から足を運んでくれる」と梶野さんは話す。
ただ「実は戦いの跡はほとんど…