2012年ロンドン五輪の女子48キロ級でスナッチで87キロに成功した三宅宏実
重量挙げ女子48キロ級で2012年ロンドン五輪銀メダル、16年リオデジャネイロ五輪銅の31歳、三宅宏実(いちご)が新境地で20年東京五輪に向かう。自らの3大会連続メダルのみならず、「代表選手のコーチ」との二刀流での出場を目指している。
5月末、栃木県であった日本選手権。バーベルを持ち上げる三宅の姿はなかった。「心の方はやりたいという気持ちになってきましたが、体がまだついてきていない」。11月の全日本女子選抜選手権(福井)での復帰を見据え、リオ五輪前から抱えていた腰痛などけがの回復や、体力強化を優先している。
一方で、力を注ぐのがコーチ業だ。4月1日に同じ所属先に加入した佐渡山彩奈(23)を、ともに練習しながら指導。佐渡山は日本選手権で2位に入り、さっそく成果を出した。
三宅が心掛けているのは、自分の意見を押しつけないことだという。「人それぞれ骨格が違う。自分にあったフォームができればいい」。気づいたことはその場で指摘するというが、長所を生かす指導をしているという。
三宅が「一緒に東京五輪を目指したい。わたしも頑張らないといけない」と話せば、佐渡山も「日本選手権ではセコンドの宏実さんからいけると声をかけてもらって、やる気になれた。夢の舞台に宏実さんと出場したい」。二人の気持ちは同じだ。(遠田寛生)