1回戦で2安打2得点と活躍した国学院栃木の橋本(左)=山口史朗撮影
昨年の全国王者、作新学院の栃木7連覇を阻むチームは現れるのか――。今夏の栃木大会の大きなテーマだが、その思いを強く抱くチームの一つが、国学院栃木だ。
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一昨年、昨年と2年続けて決勝で作新に敗れた。柄目(つかのめ)直人監督(34)は、作新・小針崇宏監督の筑波大野球部の1年先輩という間柄。昨夏の決勝で敗れた時は、「このチームなら全国制覇する」と予感するほどの強さを感じたという。
互いに母校で指揮を執る。柄目監督が高校3年の春、国学院栃木と作新学院はともに選抜大会に出場。柄目監督は1番打者としてチームを引っ張り、4強進出。小針監督も2年生ながら二塁手として8強入りに貢献した。
当時の小針監督の印象を柄目監督はこう振り返る。「色んなことに気がつく選手。ひとつ下なのにキャプテンのような存在で、こいつは何者だと思った」。大学では先輩と後輩。そして再び、監督としてライバルになった。
柄目監督にとって6回目となる栃木大会は、ノーシードからの優勝を目指す。9日の1回戦では昨夏4強の茂木に2―1で競り勝った。昨夏もベンチ入りした主将の橋本が2安打2得点とチームを引っ張った。
「作新の強さを見習おうと思ってやってきた。夏の作新は強い。そこを超えるためにやってきました」と橋本は力を込める。
一方で柄目監督は少し違う。「正直、そこまで作新を意識していない。もちろん、リベンジは目標ですが、選手にとっても34歳の私にとっても、今年は『新しい夏』なので」
選手が「打倒・作新」となりすぎて足元をすくわれないための、監督なりのマネジメントなのだろう。あくまで目標は「打倒・作新」ではなく、「優勝」なのだと。
ただ少し、先輩としての意地ものぞかせた。「作新から学ぶことはたくさんある。だからこそ勝ちたい。彼(小針監督)にも、たまには『夏休み』をあげないと」(山口史朗)