第53回大会で活躍したPL学園の西川佳明
90回目を迎えた選抜高校野球も、残り2日。4強には優勝経験校がずらりとそろった。注目は史上3校目の連覇を狙う大阪桐蔭を、東海大相模、智弁和歌山、三重が食い止められるかどうか。連覇となれば、36年ぶりで平成初。過去に連覇達成したのは、どんなチームだったのか。
「最強世代」大阪桐蔭包囲網 打倒掲げる3校、準決勝に
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史上初の春連覇を達成したのは、第一神港商(兵庫)だった。まだ「選抜中等学校野球大会」と呼ばれていた時代の第6回大会(1929年)、第7回大会(30年)を制した。
連覇を決めた翌日、30年4月6日付の朝日新聞は次のように伝えている。
「時折見舞った小雨をついて松山商業の先攻に開始されたが 地元神港商業は第三回すでに四点を先取し その後試合を有利に進め次の経過を辿(たど)って 六対一の成績で遂(つい)に優勝の栄冠を獲得」
7回大会では、岸本正治(元阪急)が計54奪三振の大会記録(当時)を樹立。準々決勝で第1回大会(24年)優勝の高松商(香川)、決勝で第2回大会(25年)優勝の松山商(愛媛)といった強豪を次々にねじ伏せた。
第一神港商以来52年ぶり、戦後初となる連覇を成し遂げたのは、第53回大会(81年)、第54回大会(82年)で優勝したPL学園(大阪)だ。53回では西川佳明(元南海など)、54回では榎田健一郎(元阪急)という好投手の存在が大きかった。
連覇達成の54回大会決勝では16長短打を集め、15―2で二松学舎大付(東京)を圧倒。前年夏の大阪大会5回戦で大商大堺に敗れ、夏の甲子園を逃した悔しさを翌春にぶつけた格好だ。
今大会の大阪桐蔭も当時のPL学園に似ており、昨夏の甲子園3回戦で仙台育英(宮城)にサヨナラ負け。悔しさを結果に昇華できるか。柿木ら好投手を擁するのも同様だ。
ただ、PL学園は16年夏の大阪大会後に休部。第一神港商は神戸市立神港(市神港)と名前を変え、連覇後も甲子園に何回も出場したが、学校統合により昨年度で閉校になった。(吉永岳央)