2011年に浜松市天竜区の天竜川で川下り船が転覆して乗客ら5人が死亡した事故で、東京高裁は20日、業務上過失致死の罪に問われた運航会社の船頭主任(当時)の男性に対し、有罪とした一審・静岡地裁判決を破棄し、逆転無罪を言い渡した。
大島隆明裁判長は「船頭主任は、船頭らに対する指導を行う義務や安全を確保する義務を負っていたわけではない」とし、「注意義務違反を認めた一審判決は事実の誤認がある」と結論づけた。
判決によると、11年8月17日に乗客21人と船頭2人が乗った川下り船が、川底から水が吹き上がる箇所で回転して岩場に乗り上げて転覆。2歳の男児を含む乗客4人と船頭1人の計5人が死亡した。
一審判決は、事故が起きた船には乗っていなかった船の運航会社の営業課長と当時の船頭主任のほか、同船に乗っていた元船頭の計3人に対し、それぞれ執行猶予付きの禁錮刑を言い渡した。当時の船頭主任だけが無罪を主張して控訴していた。(後藤遼太)