高校野球の秋季近畿大会は４日、大阪・シティ信金スタで準決勝があり、第１試合では智弁和歌山（和歌山１位）が乙訓（おとくに）（京都１位）を５―４で破った。智弁は１点を追う九回無死一、二塁で６番根来が左中間へ２点二塁打を運び、逆転サヨナラ勝ち。４年ぶりに決勝へ進んだ。

動画もニュースもバーチャル高校野球

強打の智弁和歌山にとって、課題は明白だった。「（投手陣の）２、３枚目がおらん。４、５、６、７、８、９、１０枚目はおるんやけど」。高嶋監督は苦笑する。代々、投手経験のある選手が多い智弁だが、このチームはエース平田に次ぐ投手の柱がいなかった。

だから試合後、サヨナラのシーンよりも投手に関する言葉が多くなる。「これまで練習試合も少なくて、平田以外を投げさせる機会が少なかった。こういう大きな大会で、（２番手以降が）どう放るのか見ていた」

この日の先発には２年生の小堀を送り出した。「そりゃ緊張しますわ」と監督。その言葉通り、公式戦初先発という右腕は一回、浮足だった。四球やボークでピンチを招き、スクイズで乙訓に先制を許した。

しかし、二回には立ち直った。「変化球で詰まらせるのが持ち味」と、カーブやスライダーを増やして四回まで安打を許さなかった。八回途中まで被安打４で３失点。監督も「小堀が予想外に投げてくれた。いい誤算」と褒める内容だった。

その後は１年生の湯浅、池田もマウンドに立った。九回にリードを許したものの、３投手が経験を積んだ上で勝ち切れた。

「勝ち負けは別として、冬のめどが立った」。来春の選抜を見据える高嶋監督の言葉に、充実感が漂う。小堀自身にも、「ひと冬かけて（平田）龍輝を超えたい」と欲が出てきた。課題克服への兆しを感じつつ、初優勝のかかる決勝に臨む。（小俣勇貴）