(5日、巨人3―2中日)
豪快な投球フォームは昔とほとんど変わらない。ただ、相手をねじ伏せる剛球はすでにない。頼みの綱の制球もこの日はいま一つ。約1年半ぶりの公式戦マウンドに立った松坂は苦しみながら五回を投げきった。
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「チームの勝ちにつなげられなかった悔しさしかない。先頭を出す機会が多く、球数が増えてしまった」。5回を8安打3失点。96球を費やしての黒星に、反省の言葉を並べた。
初回。先頭の立岡に内野安打を許す。1死後、坂本勇に四球を与え、続くゲレーロに左前適時打を浴び、1点を先取された。三回には連打と四球で無死満塁となり併殺と失策で2失点。一、三、四回といずれも先頭に出塁を許し、五回まで毎回走者を出した。
日本球界に復帰した2015年に右肩を手術。投げては痛める繰り返しで、ソフトバンクでは16年10月に公式戦に1試合登板しただけ。進退をかけた今季、新天地の中日では試行錯誤しながら調整してきた。
2月のキャンプではブルペン入りを減らし、球数も最多で100球以下に抑えた。「こういう調整は初めて。不安はあったが『これでいい』と自分に言い聞かせてきた」。苦しい胸中を漏らしたこともあった。
森監督は「そう簡単にはいかない。ただ、先頭を抑えていけば球数は減るだろう」。6日に出場選手登録を抹消し、「次も投げられるか様子を見る」という。復活を目指す37歳の右腕がまずは一歩を踏み出した。(鷹見正之)
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○坂本勇(巨) 「緩急をつけられて、なかなか自分のスイングをさせてもらえなかった」と松坂の投球を称賛。
○大竹(巨) 初勝利も「何とかしのいだという感じ。5回しか投げられなかった」と長いイニングを消化できず、反省。
○高橋監督(巨) 先発に左打者を4選手起用したのは、松坂対策かと聞かれ「今日のベストオーダーを組んだ」。