(19日、高校野球東東京大会 江戸川3-0大島)
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スコアボードは八回まで「0」が並んだ。九回表。大島は1死一、三塁のピンチを迎える。カウント0―2。主将で捕手の諸田啓人(3年)はエース荒田奏斗(2年)に外角低めの直球のサインを出し、胸を拳で2回強くたたいた。「お前のストレートは打たれない。思いっきり投げろ」
構えたミットより少し高めに球がきた。左前に運ばれ、ついに均衡が破れた。2死にしたが、次打者に左中間に適時二塁打された。計3失点。諸田は「焦らないようもっと声をかけていれば」と悔やんだ。
この試合、諸田は守備になれば真っ先にグラウンドに飛び出し、ポジションにつく一人ひとりを見渡して大きな声を出した。3アウトを取れば、ベンチ前に走って戻り、選手を迎える。いい雰囲気でプレーができることに心を砕いた。学校の昼食は部室前でみんなで輪になり、表情を見ながら弁当を食べた。荒田は「何でも話せました」
今春の都大会は選手不足で、出場できなかった。フリーバッティングができず、ティーで打力をつけた。1年生が3人入部して選手11人になった。
練習試合は、前日に大島から船で移動し、翌日午前に試合をして午後に帰島するため、たくさんはこなせなかった。今大会も島と3往復した。宿舎にも計10日ほど滞在。天野一道監督は「疲れが見えた」。それでも島に戻れば、島内放送などで勝利を知った島の人たちが喜んでくれた。選手は「親には1回2万円以上の船代・宿代の負担もかけた。勝ち続けて大島の野球を見せることで恩返ししよう」と誓った。
7年ぶりの5回戦進出を目指したが、0―3で江戸川に敗れた。諸田は「いい投球、いい守備をして、適時打を打って、1、2年がチームを盛り上げた。これからもっといい島の野球をやってくれると思う」。=江戸川区(山田知英)